最終回
私メッセージ・スキルからみた「そのまま」の自分(1/7)

アサーションって何?

今まで、私はこのコラムで、ざっと内面にまつわることを扱ってきました。内面も大事ですが人とコミュニケーションを満足に行くようにするには会話の技術(スキル)も大事です。

「会話のスキルは自分で見つけるものだ」という方もいらっしゃるのですが、先人たちの知恵を拝借して、つまり既に見つかっているスキルを使うことで、不必要なぶつかりを減らすことができます。不要なぶつかりを減らした上で、自分の伝えたいことを伝えるのにとてもいい方法があります。それがアサーション(自己表現)です。アサーションとは、相手の自尊心を傷つけずに、自分の気持ちをはっきり正直に表現する事を言います。

主語に「私は」を使う

例えばあなたが話している時に、Aさんがさえぎって話しだしたとします。それに対して次のよう伝えた2種類の言葉を見て欲しいのです。

・「あなたは厚かましいね」
・「私は話しを中断されて辛いです」

前者は他者を批判する言葉ですが、後者は自己表現です。同じ状況に対して伝えているのですが、全く相手の受け取り方はかわってくると思います。前者の場合、相手は批判されたと思って反発するでしょうが、後者の場合は、話し手が自分のことを語っています。違いを端的に言えば、主語が違うのです。前者の主語は「あなたは」になります(YOUメッセージ・あなたメッセージ)。後者の主語は「私は」になります(Iメッセージ・私メッセージ)。その文章の違いは、「誰が持っている問題なのか」に対する意識の違いにあります。

私の問題・他人の問題ってなに?

「あなたは厚かましいね」と言う場合、問題は相手にあると思っているのです。相手に問題があると思った場合、問題を取り除くのは相手次第、相手が悪いということになってしまいます。そうすると相手をコントロールしたくなるでしょう。しかし、他人をかえることは難しいのでイライラが残ったままになります。

それに対して、「私は話しを中断されて辛いです」と言う場合、問題があるのは「私」になります。ことの責任は私にあるのです。その場合、「自分の為に相手に動いて欲しい」とお願いすることになったり、聴いてくれない場合は、自分がその問題を取り除く為に移動するなど対処方法を見つけることが必要になってきます。

プロフィール

あらきまさし (まぁ。)

高機能広汎性発達障害の当事者。
1994年立命館大学法学部卒業。2001年10月から心理カウンセリングのトレーニングを始める。その頃から心身体験型のワークに出会い、特にゲシュタルトセラピー、フォーカシング、ブレスワーク、心身統合心理療法(ボディサイコセラピー)などを取り入れて学ぶ。
その後、京都府内の精神保健福祉センターにてボディワーク講師のアシスタントを務めたり、KNCにてファシリテーター研修を開始。エンカウンターグループDOの世話人を務めている。
2010年11月に高機能広汎性発達障害の確定診断が降りる。2011年から発達障害当事者グループ「グループそのまま」を主催。
2012年現在は、アルバイト等をしながら、心理カウンセリングやグループワークを行っている。
「珈琲や生クリーム、プリン、豆腐などをこよなく愛してます。けっこう、へろへろしながら自分にできそうなことを行ってます。これからもよろしくです^^」
ブログ
ブログ 発達障害でもなりたいものになれるさ
当事者会
発達障害当事者グループ グループそのまま
ワークショップ
ワークス SHISAMA
協力:宮崎礼子
心と関係性の相談室「RE」
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