最終回
私メッセージ・スキルからみた「そのまま」の自分(1/7)
アサーションって何?
今まで、私はこのコラムで、ざっと内面にまつわることを扱ってきました。内面も大事ですが人とコミュニケーションを満足に行くようにするには会話の技術(スキル)も大事です。
「会話のスキルは自分で見つけるものだ」という方もいらっしゃるのですが、先人たちの知恵を拝借して、つまり既に見つかっているスキルを使うことで、不必要なぶつかりを減らすことができます。不要なぶつかりを減らした上で、自分の伝えたいことを伝えるのにとてもいい方法があります。それがアサーション(自己表現)です。アサーションとは、相手の自尊心を傷つけずに、自分の気持ちをはっきり正直に表現する事を言います。
主語に「私は」を使う
例えばあなたが話している時に、Aさんがさえぎって話しだしたとします。それに対して次のよう伝えた2種類の言葉を見て欲しいのです。
・「あなたは厚かましいね」
・「私は話しを中断されて辛いです」
前者は他者を批判する言葉ですが、後者は自己表現です。同じ状況に対して伝えているのですが、全く相手の受け取り方はかわってくると思います。前者の場合、相手は批判されたと思って反発するでしょうが、後者の場合は、話し手が自分のことを語っています。違いを端的に言えば、主語が違うのです。前者の主語は「あなたは」になります(YOUメッセージ・あなたメッセージ)。後者の主語は「私は」になります(Iメッセージ・私メッセージ)。その文章の違いは、「誰が持っている問題なのか」に対する意識の違いにあります。
私の問題・他人の問題ってなに?
「あなたは厚かましいね」と言う場合、問題は相手にあると思っているのです。相手に問題があると思った場合、問題を取り除くのは相手次第、相手が悪いということになってしまいます。そうすると相手をコントロールしたくなるでしょう。しかし、他人をかえることは難しいのでイライラが残ったままになります。
それに対して、「私は話しを中断されて辛いです」と言う場合、問題があるのは「私」になります。ことの責任は私にあるのです。その場合、「自分の為に相手に動いて欲しい」とお願いすることになったり、聴いてくれない場合は、自分がその問題を取り除く為に移動するなど対処方法を見つけることが必要になってきます。