最終回 私メッセージ・スキルからみた「そのまま」の自分(3/7)

これらのように、断りたい思いをはっきり伝える時に、もう一つ大事なこともあります。それは「なぜ「いいえ」と答えるのか理由を伝えること」です。もちろん、いつも理由を伝えることが必要なわけではありません。親しい間柄なら「いいえ」だけで済ますことも出来ます。けれども、なぜ私たちが「いいえ」と決めたのかの理由を伝える方がもっとよいのです。伝えることで、「断るけれど、私はあなたとの関係を大切に思ってるし、私の断る理由を尊重してくださると信じています」というニュアンスが伝わることがあります。次のような言葉になります。

「いいえ、今お金をお貸しするつもりはありません。私も入用なので」
「いいえ、来週は一緒に行かないことにします。家族と一緒に過ごしたいので」
「いいえ、その商品を買うつもりはありません。予算がオーバーしますので」など

(3)予防の私メッセージ

他の人たちの協力が欲しい時、それを前もって知らせる方法を「予防の私メッセージ」と呼びます。なぜ予防の私メッセージと呼ぶのかというと、私たち自身の気持ちを前もって知らせることで、対立や誤解を予防するからです。 予防の私メッセージも2部構成になっています。まずは私たちの要求を表現します。

「学校に戻りたい」
「少し休みたい」
「楽しいことをしたい」

そして、次ぎに「なぜそう望んでいるのか」を伝えるのです。 「私は〜したい。なぜなら〜。」 なぜそうしたいのかの理由を威圧的、攻撃的に聞こえないように配慮するのも大切です。

「会議のために打ち合わせをする時間を決めたい。打ち合わせをしておけば、会議の場で不安を感じずに落ちついていられるだろうから」
「夕食の時間を教えて欲しい。長い電話をかけたいと思うから」
「晩ご飯のおかずを買ってきて欲しい。とても体調がしんどくて動くのが辛いから」など

相手の反発を生むことは少ないのですが、それでも話をすれば、相手から反発を生むこともあるかもしれません。そんな場合は、相手の話を聴くことも必要になります。

(4)対決の私メッセージ

相手の行動が、私たちの要求を満たすのを妨げている場合は、私たちが問題を所有しています。

例えば、Bさんがドアをバンと大きな音を立てて閉めたとします。私はとてもストレスを感じてしまいます。ドアを閉めたのはBさんの行為ですが、その音が気になってストレスを感じてしまっているのは私の問題であって、Bさんの問題ではありません。もし、Bさんがドアをバンと大きな音を立てて閉めた場合、私に1000円入るという契約をしていたのなら、私はきっと音を聞くたびに喜ぶでしょう。 なので、問題を抱えているのは相手ではなく、なんとかしたいと思っている私にあります。

プロフィール

あらきまさし (まぁ。)

高機能広汎性発達障害の当事者。
1994年立命館大学法学部卒業。2001年10月から心理カウンセリングのトレーニングを始める。その頃から心身体験型のワークに出会い、特にゲシュタルトセラピー、フォーカシング、ブレスワーク、心身統合心理療法(ボディサイコセラピー)などを取り入れて学ぶ。
その後、京都府内の精神保健福祉センターにてボディワーク講師のアシスタントを務めたり、KNCにてファシリテーター研修を開始。エンカウンターグループDOの世話人を務めている。
2010年11月に高機能広汎性発達障害の確定診断が降りる。2011年から発達障害当事者グループ「グループそのまま」を主催。
2012年現在は、アルバイト等をしながら、心理カウンセリングやグループワークを行っている。
「珈琲や生クリーム、プリン、豆腐などをこよなく愛してます。けっこう、へろへろしながら自分にできそうなことを行ってます。これからもよろしくです^^」
ブログ
ブログ 発達障害でもなりたいものになれるさ
当事者会
発達障害当事者グループ グループそのまま
ワークショップ
ワークス SHISAMA
協力:宮崎礼子
心と関係性の相談室「RE」
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