第5回 対人関係からみた「そのまま」の自分(4/4)

どうするかというと、「どんなことが出来なくて切実に困っているのか」「どんなことを避けさせて欲しいのか(または、どんなことを避ければ出来るようになるのか)」を具体的に伝えるわけです。

困っていることを具体的に説明する大事さ

自分から「どんなことが出来なくて切実に困っているのか」「どんなことを避けさせて欲しいのか(または、どんなことを避ければ出来るようになるのか)」を説明をする場合、とても大事なことがひとつあります。それは具体的に「どんなところで困っているのか」に自分で気づくことです。「もやもやする」「胸元がざわつく」などの”身体感覚”と”気持ち”に意識を向けます。そして、それが現実の何と繋がってるのか気づくのです。

気づいた「そのまま」の自分をまずは受け入れます。ここで大事なことは、何かが出来ないとしても、自分を責めないことです。障害ですから出来なくて当たり前なんです。そして、出来ない部分を何かスキルで補うか、補うことも出来なければ、「どうしても出来なくて困ってるんだ」と伝えることです。

たとえば相手に、「仕事場で電話がかかってくると、とても不安になります。なぜなら、二つのことが同時にできないので話を聞きながらメモを取るのができないのと、記憶を保持できないので聞き終わった後にメモをとったりすることができなくて、とても困ってしまいます」と言う具合です。

終わりに

今回は対人関係の中でもよく起きる「誤解が生じる場合」の例を取り上げてみました。基本は「分からない部分を具体的にきくこと」「相手の気持ちを認めること」と困っているところを「具体的に説明すること」にあります。出来ない自分を責めるのではなく、そんな自分を受け入れて、人に尋ねたり、相手の気持ちを認めたり、自分の困り感の部分を具体的に説明したり、ということはとても大事なことです。生き辛さを取り除いてイキイキと自分らしく生きる道につながるからです。 そして、それらのすべてに実は「そのまま」の自分に気づくということが前提になってきます。「そのまま」の自分が感じている違和感やざわつき、落ち着きなどを大切にすることで、どうしたいのかが見えてくるようになるからです。

プロフィール

あらきまさし (まぁ。)

高機能広汎性発達障害の当事者。
1994年立命館大学法学部卒業。2001年10月から心理カウンセリングのトレーニングを始める。その頃から心身体験型のワークに出会い、特にゲシュタルトセラピー、フォーカシング、ブレスワーク、心身統合心理療法(ボディサイコセラピー)などを取り入れて学ぶ。
その後、京都府内の精神保健福祉センターにてボディワーク講師のアシスタントを務めたり、KNCにてファシリテーター研修を開始。エンカウンターグループDOの世話人を務めている。
2010年11月に高機能広汎性発達障害の確定診断が降りる。2011年から発達障害当事者グループ「グループそのまま」を主催。
2012年現在は、アルバイト等をしながら、心理カウンセリングやグループワークを行っている。
「珈琲や生クリーム、プリン、豆腐などをこよなく愛してます。けっこう、へろへろしながら自分にできそうなことを行ってます。これからもよろしくです^^」
ブログ
ブログ 発達障害でもなりたいものになれるさ
当事者会
発達障害当事者グループ グループそのまま
ワークショップ
ワークス SHISAMA
協力:宮崎礼子
KC心理・家族相談室
inserted by FC2 system