第5回 対人関係からみた「そのまま」の自分(3/4)

相手の情動の表現や感情をキャッチする練習

相手の情動の表現や感情をキャッチするには、どうすればいいでしょう?それには、自然に身に付けるというより、語学を学習するのと同じように、学びとる必要があるのかもしれません。標準的な表情、不機嫌な表情、機嫌のいい表情、悲しそうな表情、穏やかな表情などなど、表情が語る意味を学んでいくのです。また、呼吸の感じ(お腹で呼吸しているか、胸でしているか、肩でしているか、深さ、スピードはどうかなど)、肩の上がり具合、腕や足の緊張度合、皮膚の色(血色がいいかなど)、声の落ちつき具合、頭の角度、からだの姿勢などに表れる感情とのつながりを学ぶのも大事かもしれません。身体で気持ちが表現されていることもよくあるからです。それらを学べば学ぶほど、人の感情をキャッチすることがしやすくなると思います。

学び方のコツとして、どうすればいいかというと、まず、相手の姿勢や表情などに気づいたら、自分もそれをしてみることです。同じポーズ、同じ呼吸方法、同じ表情、同じ動きなどを真似してみると、相手の気持ちはこんな感じかなぁと想像することが出来ます。

友人や恋人との関係での対処法の一例

そして、それらを学ぶことも大事ですが、なによりも、分からなかったら、「今、どんな気持ち?」「今、どんな感じがしているの?」「(あなたの中で)何が起きているの?」と尋ねてみるのがいいと思います。そして、「悲しい」とか相手が表現してきたら、その相手の気持ちなどを、受けとめて「○○と感じてるんだねぇ」「そう感じてるんだねぇ」と相手の感じている気持ちなどを認めることがとても大事になります。

困ったときの対処法-第三者を使う

前述のように職場では「具体的に聞き出すこと」そして、友人や恋人には「具体的に気持ちや感じを聴いて、認めること」は関係性を円滑に保つためにとても大事なものです。これらは相手を受けとめるという意味につながるからです。ですが、時には、困った時の対処法として「何かを主張したい場合」や「何かを改善したい場合」などもあるでしょう。そんな時はどうすればいいでしょうか?

まず一つに、そんなときは誰かに間に入ってもらうという方法があります。つまり、更に上の理解のある上司や、主治医、支援センターの方などに入ってもらって代わりに説明してもらうのです。お医者さんに診断書や説明書を書いてもらい、それを見せることも出来ますし、また、主治医のところで三者面談をすることも出来ます。そうすることで、理解をしてもらえることがあります。

困ったときの対処法-「自分で説明する能力」というリソースを使う

そのように、第三者に入ってもらうことが出来るのなら、とても安全に説明できますが、入ってもらえない場合もあります。友人や恋人との関係や障害のことをかくして仕事をしている場合などは、間に入ってもらうのは難しいでしょう。なので、別の方法も必要です。もう一つに、基本的に誰もが持っているリソース(資源)を使って、自分で語るという方法もあります。つまり、「自分で説明する能力」を使うのです。

プロフィール

あらきまさし (まぁ。)

高機能広汎性発達障害の当事者。
1994年立命館大学法学部卒業。2001年10月から心理カウンセリングのトレーニングを始める。その頃から心身体験型のワークに出会い、特にゲシュタルトセラピー、フォーカシング、ブレスワーク、心身統合心理療法(ボディサイコセラピー)などを取り入れて学ぶ。
その後、京都府内の精神保健福祉センターにてボディワーク講師のアシスタントを務めたり、KNCにてファシリテーター研修を開始。エンカウンターグループDOの世話人を務めている。
2010年11月に高機能広汎性発達障害の確定診断が降りる。2011年から発達障害当事者グループ「グループそのまま」を主催。
2012年現在は、アルバイト等をしながら、心理カウンセリングやグループワークを行っている。
「珈琲や生クリーム、プリン、豆腐などをこよなく愛してます。けっこう、へろへろしながら自分にできそうなことを行ってます。これからもよろしくです^^」
ブログ
ブログ 発達障害でもなりたいものになれるさ
当事者会
発達障害当事者グループ グループそのまま
ワークショップ
ワークス SHISAMA
協力:宮崎礼子
KC心理・家族相談室
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