第5回 対人関係からみた「そのまま」の自分 (2/4)
職場での対処法の一例
しかし、これがただ単に「適当に」と言われるのではなく、「6割ぐらいの適当さでしてくれ」と言われた場合、相手の求めている加減を理解することが出来るのです。「500字ぐらいで調べておいて」とか言われると合わせることも出来ます。
つまり、私たちは、具体的な指示を必要とする場合が多いのです。とは言っても、職場の上司が、いつも具体的に指示してくれるとは限りません。むしろ具体的に指示してくれないことの方が多いでしょう。
そのため、対処法としては、「適当に」と言われた場合、自分から「適当が分からないです。それは何割の手抜きですか?」とか、「それは何文字くらいで調べればいいですか?」とか尋ね返す必要があります。 同じように「すぐにして」と言われると「具体的にはいつまでですか?今日中ですか?一番の優先ですか?」と尋ねてみたりするのもいいかもしれません。
友人や恋人との関係で誤解が生じる場合
また、友人や恋人との関係では、情動の表現や感情をキャッチすることにトラブルが起きがちです。もともと、私たちは空気を読むのが苦手だったり、読めないので、相手の人が「言わなくてもわかるでしょう」とか「察して欲しい」と言われてもピンと来ないことが多いように思います。
例えば、小説の中で、「彼女の皿を洗う音が、今夜に限り大きく聞こえてきた…」というくだりがあると、一般の人は、この文章で彼女は機嫌が悪いのではないかと見当をつけますが、私たちは一体なぜここでわざわざ皿を洗う音を表現しているのだろう?と、意味が分からないこともあるのです。
現に、恋人が皿をガチャガチャと音を立てて洗っているときに、機嫌が悪いと察することが出来ず、「そんな乱暴に洗うと大事なお皿が割れてしまうから、もっと丁寧に洗ってください」と言って、余計に怒らせてしまうこともあります。
それとは別に、私たちは十分に打ち解けているように感じていても、相手からは「こころを閉じている」「もっとこころを開いて欲しい」と言われることがあります。多分、私たちは一般の人と比べて感情の表現が少ない人が多いですし、感情に対して重きを置いていない人も多いことが関係しているように思います。
また、私たちの中のある人は、好きな人や気に入っている人に自分の趣味や集めているものを、相手も当然気に入るものと思って熱く語ったり、メールで送り続けることもあるようです。自分が幸せになる趣味は、当然相手も幸せになると思って送ったりします。ところが、その行為に対して一般の人は、単に自慢話をしているとか、自分の趣味を押し付けてるといって、もめてしまったり、呆れられたりするようです。