第3回
性格からみた「そのまま」の自分 その1 (1/4)
はじめに(防衛的な性格について)
性格と「防衛的な性格(性格の鎧)」
発達障害の私たちには、定型の人と同じく、一人ひとりとても個性豊かな性格を持っています。性格とは、行動のしかたに現れる、その人に固有の感情や意志の傾向のことです。性格は、胎児の頃から大人になる現在まで、さまざまな経験とその人固有の遺伝的要素によって形作られてきます。性格は本来、その人に合った好みのものをより一層引きつけて、日常生活を豊かにさせてくれる素敵な側面があります。 しかし、その逆に人間関係をある特定のパターンに引き込んで情緒的な健康をこわす側面もあります(具体例は後ほど個々の性格で示します)。その情緒的な健康をこわす側面の性格のことを「防衛的な性格(性格の鎧)」と呼びます。
「防衛的な性格」ってどんなの?
その「防衛的な性格」とは、胎児の頃から大人になる現在まで、何らかの原因で生き抜くのが困難な状況に直面した個人が、それでもなんとか生き抜くために身に付けてきた生きる術です。なので、その人が、生きて行くためには、その当時とても必要だったものなのです。
例えば、幼い頃、養育者に「親密さ」を求めると、受けとめてもらえず、むしろ、冷たくあしらわれることが続いたとします。養育者にも理由があってのことでしょうが、このような場合、残念なことに、子どもながらに「親密さ」を求めてはいけないと思ってしまうことがあります。そうして、その結果、その子は他人に「親密さ」を求めることをしなくなり、大人になってからも、あまり感情を表現しなくなったり、手を伸ばして何かを求めたりしなくなるということがあります。
しかし、今の生活ではどうでしょうか。例えば、人によっては、困難が過ぎ去った今の生活で「防衛的な性格」は必要ないものになっていることが多くあります。それでも人は、その「防衛的な性格」を使ってしまい、警戒心がいつまでも収まらず、安息の時間が持てないかもしれません。既にそれが必要なくても、性格としてしみついて、今も無自覚で自動的に使っているということがよくあるのです。
対局にある情緒的健康とは?
「泣きたい時には泣き、喜びたい時には喜び、怒りを感じたい時には怒りを感じる。愛情を表現したい時には表現する。これらの感情も愛情も表現するかしないかはその時の状況によって選択する。そして、いつでもしっかり気持ちと繋がりあっている」。私はそんな生き方が出来ると素敵だと思います。その状態を情緒的健康といいます。