第7回
彼らの生活について(1/3)

日本の皆さんお元気ですか?

アトリエはすっかりクリスマスムードで、赤と白のサンタ帽子をかぶった人達でいっぱいです。 アメリカのクリスマスといえば家族と過ごす人が多く、こんな時ふと「アトリエのみんなはどのように過ごすのかな?」なんて考えたりします。 そこで、今回は彼らの生活について、少し触れてみようと思います。

一言に発達障害や知的障害と言っても、彼らの自立度は様々です。 一人でスターバックスに車で行って来られる人もいれば、一人で外に出られない人もいます。

1人暮らしや結婚している人の支援には、ILS(Independent Living Services )という公的なサービスがあります。 ILSワーカーはクライアント一人につき一人つき、自立生活全般(料理、買い物掃除、月々の支払い、スケジュール管理、移動、電話の掛け方、社会とのつながりなど)をサポートします。 私の知るケースでは、担当者が週に1度家を訪ねて、生活の様子を聞いたり、電気代を払い忘れていたり、ドクターのアポを忘れてないかなどをチェックしたりしていました。

一人暮らしが困難な人はグループホームに住みます。 ホームの種類は様々で、10人位の所もあれば少数の所もあります。 だいたい大きな家を貸し切って、ケアプロバイダー(世話人)が1人住み込みで食事などの世話をしているようです。 トイレとシャワーは共同、寝室はルームメートと一緒の人もいれば、個室が与えられている人もいます。 グループホームで週に一回外食に行ったりするのがとても大きな楽しみのようです。

ご家族と同居されている人も親御さんが高齢になると世話ができなくなり、兄弟の家族と住み始めたり、グループホームに移行したりします。 40代後半のAさんは、お母さんが亡くなった後、お姉さん家族と同居しました。 50代前半のBさんは、お兄さんの家族と一緒に住んでいるようです。

そういうケースを見ていると、今まで一緒に住んでいなかったお姉さん(既婚)の家に入って、居心地悪い事はないか、ケンカはしないかと不思議に思います。 しかしAさんBさんに関して言えば、お兄さんもお姉さんも、とてもよく面倒を見ている印象です。 40、50代の彼女達が小さいときは今程支援は充実していなかったでしょうから、もしかしたら若い頃から兄弟の方達は「いつか面倒を見る」という覚悟をもっていたのかもしれません。

プロフィール

佐藤エリコ

カリフォルニアの首都、サクラメント在住の15歳のアスペ君の母。
東京造形大絵画科、サンフランシスコ州立大卒。
1999年渡米し、画家、イラストレーター、美術教師として活動する。
2007年、一人息子Mのアスペルガー診断をきっかけに自閉症の療育を学ぶため、ABA(応用行動分析)のホームセラピストに。
2010年、アスペルガー育児とセラピスト体験をコミックエッセイ「まさか!うちの子アスペルガー?」(合同出版)から出版。
現在はアートとセラピストの経験を活かして、2010に発達障害(知的障害、脳性マヒ、てんかん、自閉症を含む)をもつ成人のアートスタジオ「スタジオ23(仮名)」にインストラクターとして勤務している。
18歳から90歳以上までの強烈な個性のアーチスト達が50人以上も通うアトリエで、息子の将来について考えながら、日々格闘中!

ブログ・絵カードのお店

著書


まさか!
うちの子アスペルガー?
佐藤エリコ/著
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