第4回
アートショウに向けて (1/2)

スタジオ23では、毎年この時期にアトリエを一般に公開する「Art Show」を開催します。 現在、スタッフはこのイベントに向けて、準備に燃えています!!

通常作品が売れると、売り上げの75パーセントがアーチストに支払われます。 Art Showの後には、山積みの小切手が配られるのです。 金額は様々、封筒を開けて歓声、そして、涙も。

自分で作ったものが売れたのが、何よりも嬉しい。
お金だけでなく、自分の作品が誰かに評価されたことが嬉しいのでしょう。
そして、喜ぶ姿が見られるのは、スタッフにとってなによりのご褒美です。こういった機会を増やすにはどうしたらいいか、そのヒントを得るために他のプログラムを見学してきました。

訪ねたのは
サンフランシスコの
CreativityExplored(http://www.creativityexplored.org/)と
オークランドの
CreativeGrowth(http://creativegrowth.org/category/news/
という二つのプログラム。
見学してまず印象に残ったのは、作品の質の違いでした。
今までスタジオ23では、ジュエリーや手作りグッズを地域の人に低価格で提供していました。しかし、サンフランシスコのアトリエで製作されていたのは「商品」ではなく、ファインアートの「作品」でした。 それも普通の「お行儀の良い」「上手な」作品ではなく、まさに「特性を活かした」「個性的な」作品でした。

そこに通うアーチスト達は、スタジオ23と同じリージョナルセンターのクライアント達(ダウン症、自閉症、脳性麻痺、てんかん、その他の脳障害、知的症がいのある人達、第一話参照)です。 そのせいか「ああ、彼はウチのアトリエの○○さんみたいな絵を描くな」とかいった共通点が沢山見らます。 だからこそ、インストラクターが「どの部分を強化するか」によって出来上がる作品が、全く違うものになるのだと痛感しました。

中でもオークランドのCreative GrowthのJudith Scottさん(http://en.wikipedia.org/wiki/Judith_Scott)には、私は特に刺激を受けました。 重い知的障害を持つダウン症の彼女は、ファイバーアーチストとして活躍しとても充実した人生を送りました。 私の担当するクラスにも、彼女と同じような可能性を感じさせるアーチストが沢山います。 この可能性を活かして伸ばすのも、押さえつけて普通にするのも、支援者の能力次第。 責任は重いと感じました。

プロフィール

佐藤エリコ

カリフォルニアの首都、サクラメント在住の15歳のアスペ君の母。
東京造形大絵画科、サンフランシスコ州立大卒。
1999年渡米し、画家、イラストレーター、美術教師として活動する。
2007年、一人息子Mのアスペルガー診断をきっかけに自閉症の療育を学ぶため、ABA(応用行動分析)のホームセラピストに。
2010年、アスペルガー育児とセラピスト体験をコミックエッセイ「まさか!うちの子アスペルガー?」(合同出版)から出版。
現在はアートとセラピストの経験を活かして、2010に発達障害(知的障害、脳性マヒ、てんかん、自閉症を含む)をもつ成人のアートスタジオ「スタジオ23(仮名)」にインストラクターとして勤務している。
18歳から90歳以上までの強烈な個性のアーチスト達が50人以上も通うアトリエで、息子の将来について考えながら、日々格闘中!

ブログ・絵カードのお店

著書


まさか!
うちの子アスペルガー?
佐藤エリコ/著
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