第3回
関わり(支援)はみんなでシェアしよう〜!(1/2)

 相変わらずあれやこれやと書いては消し消しては書きを繰り返しています。
でも、いろいろと気張って書くのも疲れるので最近の話を一つ。

約1ヶ月ほど前に自宅に1本の電話がありました。
十数年ぶりの人だったので大喜びで電話をとり、久しぶりの会話を楽しみました。
と言ってもそれは会話にあらず、彼(ここではAくんとします)の一方的な話ばかり。
でも嬉々として話す彼の話はとても面白くて「へぇ〜」「そうなんだぁ〜」「知らなかったなぁ〜」「すごいね〜」と相槌を打ちながらかれこれ30分以上話を聞いていました。

その内容というのは・・・
ウルトラQの怪獣の話や出てくる俳優の話。昔のプロレスラーの話。歌謡曲と呼ばれていた時代の歌手の話等々。決してリアルに見てきたAくんではなく、ビデオやDVDを見ての話のようでした。

こちらは、十数年ぶりの声に空白の時間の話を聞きたいし、突然かけてきた理由も知りた。そして、今の暮らしっぷりも知りたい。
ところが、そんな話には全く応えてくれず、逆にAくんは、私の最近の様子を聞いてくるし、以前付き合いの会った人たちの様子も聞いてくる。(ちょっとムカッ!)
そんなAくんですが、彼の語り自体は面白いので「まっ!いっかぁ〜!」と彼からの一方的な話を聞いていました。

ところがところが、それからが大変。
その日はたまたま休みで自宅にいたので彼の話もゆっくりと聞けたのですが、
その後、何度も何度も電話がかかるようになり、毎回毎回同じ話の繰り返し。
同じ繰り返しでも時間があれば結構新鮮に聞ける私なんですが・・・。
早朝・食事の支度前・出かける直前にも、こちらの都合に関係なく電話がかかるようになり、
「今寝ていたよ〜」とか「これからご飯をつくるんだけどまたにしてくれる?」とか言えば「一つだけ」と10分ほど話が続く。早朝まだ目が覚めていない時、電話で空返事ばかりしていると、結構すぐに電話を切ったけど、改めてかけなおし再び長電話。

決して電話を切るための口実ではなく、正直に状況を伝えないとAくんもわからないだろうから事実は伝える。でも時間があればじっくりを繰り返していました。

ところがある日、電話口から「おい!誰と話してんだ!」「もう電話を切れ!!」というお父さんの怒鳴り声の後にプツンと電話が切れる。
又、別の日には突然お母さんが電話口に出てきて「本当に申し訳ないです。うちの子はバカだから際限なくて〜」と言われ、「うちの子は発達障がいだからどうしようもないんです〜」と言われたら、何と応えて良いやら。

プロフィール

岩ちゃん
(「岩ちゃん」さんとは言わないでね)

年齢:1963年 大阪産
現在:東京都在住
仕事:たこの木クラブ代表

たこの木クラブって何?
東京の端っこの方で活動しているちっちゃな市民団体です。1987年に誕生しました。

「地域でともに生きる」事をめざし、発足当初は「子ども達どうしの関係づくり」をテーマに、出会いの場としての子ども会や子ども達の日常である学校にこだわり活動してきました。
2000年あたりからは、障がい故に取り残されていく子ども達(青年たち)の課題として、進学・就労・自立生活といった様々な場面での支援を担っています。

「支援者」と言えば聞こえは良いのですが、「知的」とか「発達」といった障害名や専門性に疎く、長年付き合ってきた子ども達のほとんどが実は「自閉症」という領域にいる人たちである事を最近になって知ったほどです。
又、重度と呼ばれる人たちが多いため「自閉症」という人は皆、療育手帳が取れるものと思っていたまったくのど素人です。
でも、専門的な事はまったくわかりませんが、目の前にいる人たちと向き合い、今そして将来に渡り「誰もが地域で暮らし続ける」ために必要となる課題を日々悶々と模索しつつける事には変な自信を持っている私です。
共著『良い支援?』(生活書院)絶賛販売中!お求めはたこの木ブログより!

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歩くたこの木

著書・共著


良い支援?
知的障害/自閉の人たちの自立生活と支援
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