インクルージョン社会を目指して一緒に走ろう! Run4u(2/3)

障がい者の親は、子どもが働くことができないかもしれないので、子どもの分も稼がなくてはならないという現実もあります。そのためには健康でなくてはならないし、僕らおじさん世代は生活習慣病も気にしなくてはいけないですし(笑)、ランニングはちょうどいいのではないかと思ったのです。ということで、メッセージも大事だけど、まずは自分の健康維持から。そんなコンセプトで、Run4uの構想は立ち上がりました。

黄色いTシャツがとってもおしゃれでいいですね! ところで、このTシャツにも書かれている「インクルージョン(INCLUSION)」という言葉。 この言葉にどのような思いを持っておられますか?

ひとことで言えば、将来の社会は、今よりもっと障害に対する理解と支援が進んで、障害を持って生まれた自分の息子が、生き生きと豊かに生きていける社会であってほしいという願いが根底にあります。

もう少し視野を広げて言えば、今の社会には、障害のあるなしにかかわらず、人種、国籍、性別、年齢、帰属する文化の違いなど、実に様々なバリアーがあります。そしてその存在が、誰もが幸せに暮らせる社会を作ることの足かせになることが多々あると思います。それを今よりもずっと克服したより進化した社会を、息子を含む将来の世代にプレゼントしたい、そんな考えをもっています。

そして、そのために父親としてやれることがあり、やるべきことがたくさんある。今の時代、インターネットをうまく活用すれば、時間や地理的な隔たりを越えて、多くの人たちとネットワークを通じて力を束ねていくこともできます。ですので、父親たちが中心となって力を合わせて INCLUSIONの実現を目指すような活動を進めていければなと考えています。

Run4uのTシャツを着て走る。「それだけのこと」でありながら、これってすごいことだなと思うのです。 (特別な職業の人を除くと、)フツウ一般の人が「私はこういう考えを支持している」ということを、明確に意思表示する場所もタイミングもなかなかありません。 けれど、Run4uのT シャツは、多くを語らずして「私はインクルージョン社会を支持している」という意思を、「さりげなく」、でも「はっきりと」表現できる「ツール」になっています。

今の日本の社会では、何かについて熱く語ることができにくくなっている気がするのです。 そんななかで、お互いが「空気」を読みあって、できるだけ衝突しないように自分の意思表示を控えてしまう。 実は、いつも出会う近所のおじさんも同じ思いを持っている人かもしれない…。 Tシャツを見て、「あ、この人も同じ思いなんだ」と思えるのは、とても嬉しいことなんじゃないかなぁと。 そういう、「あ、同じ」っていう、かすかな心のつながりが、本当の意味でのインクルージョン社会へとつながるんかないかなぁ。そんな気がします。

実際にこうした活動をされている中で、「人とのつながり」について、どのように考えておられますか。

そうですね、人間関係というものは時にややこしい側面がありますよね。ただ、ラッキーなことに、僕は中学・高校をブラジルで過ごしたせいか、気質がちょっとラテン系と申しますか、気楽に人とつながることに抵抗が少ないのです。相手にとってわかりやすい言葉を選んでコミュニケートすれば、きっと分かり合えるという感覚を常にもっています。

Run4uのTシャツは、そのためのわかり易い媒体になってくれています。黄色というのも目立ちますし、胸のところに印刷したRun4u の記載も目につきやすいですよね。背中のINCLUSIONもそれを目にした人の関心を引きやすいですよね?

Run4uとして活動するには、まずはそのTシャツを着て走ればいいのです。あれこれ難しいことにとらわれるよりは、まずは大きな共通項に目を向けて、黄色いT シャツを着て走ってみる・・・、そうすると自然と仲間意識も生まれ、走る前だったら語り合えなかったこと語り合えるようになったりすることも少なくありません。頭で考えすぎずに、体で感じることも大切だと思うのです。「走る」というのは、そういう意味で入りやすい方法ではないかなと思います。

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