「絵描き犬」兼「イラストレーター」 まゆイヌさんにインタビュー!(2/3)

どんな道も、よいことばかりではないと思います。
うまくいかなくて悩んだ時のお話も聞かせていただけますか?

この仕事をしていて1番しんどいとき、それはやはり、絵が描けないときです。
絵が描けない状態のときは、非常に強い自己否定の状態に陥ります。私は極端な性格をしているため、絵が描けない=自分の存在自体否定、となってしまい、なかなか厄介な状態へと突入していきます(^^;)
そんなときは好きな場所へ散策に出かけたり、美味しいものを食べに行ったりして、自分の心の安定化につとめます。ここ最近はそのリズムの掴み方のコツがわかってきたのか、比較的安定した状態で推移しています。

発達障害であるとわかった(診断された)きっかけを聞かせていただけますか?

私の中にある「発達障害」の存在に気づいた直接のきっかけは、数年前に勤めていた会社からのリストラ勧告でした。
 「発達障害・アスペルガー症候群」のことについては、会社を退職する前の休職期間中に読んだ書物の中で知りました。私の中にあると思われる「発達障害」の存在を知ったとき、まずはじめに私が感じた感情は「腑に落ちた感じ」「安堵感」でした。
 その後私は、地元で開催されていた発達障害当事者会等に通い、発達障害や特性に関する理解を深め、今後の自分の進むべき道として「絵」の道を選択しました。
再び絵の道に進むきっかけを与えてくれた「発達障害」という存在に、私は大変感謝しています。

ご自身の発達障害の特性が、仕事に生かされていると感じることはありますか?

一番生かされていると感じる点は、長時間途切れることのない「集中力」です。
 学生時代からずっとこの傾向があり、集中して好きなことに取り組んでいるときは、知らない内に夜が明けていることが多くありました。現在の仕事でもその強い「集中力」が、非常に良く生かされていると感じます。
 また、人とは異なるユニークな発想力も、発達障害の特性から来るものだと感じています。

逆に、ご自身の発達障害の特性が、お仕事の妨げになると感じることはありますか? そんなとき、工夫したことや、気持ちを切り替え方などあれば教えてください。

長時間途切れることのない強い「集中力」の反動としての、強い「空虚感」です。
 何かに集中して取り組み、作業を全て終えた後、必ずと言っていいほど、心が虚ろな状態になります。 激しいイベントの出展後や、気合を入れて作品を作った後など特に、強い空虚感に襲われることが多いです。
 そういったときは、この「空虚感」に飲み込まれてしまわないように、たくさん好きなことをして、出来る限り自分に優しくするようにしています。 時間が経過すると回復してくることも知っているので、自分を信じてあげています(^^)

子供のころの面白エピソード、仰天エピソード、悲しい体験などあれば聞かせてください。

子供のころのことは何故かほとんど、おぼえていません(^^;)
 断片的に自分にとって非常に強く印象に残った出来事だけ、はっきりとおぼえています。
広告チラシの裏にひたすら、自分の想像上の漫画やゲームを書きなぐっていたこと。
いじめられていて毎日学校に行くのがつらかった、小学校・中学校時代のこと。
 つらい思い出が多かった私の子供時代でしたが、「絵を描くこと」だけが、当時の私の救いであったように感じています。

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