第10回 彼らの老後と心の支え(2/2)

先日も、他のアーチスト達がお母さんの話をしているのを聞いていて、しばらく黙って聞いていた彼女ですが、たまらなくなり、
「エリコ、どうしよう、私はこれからどうしたらよいの?」
と泣き崩れるというエピソードがありました。

アトリエでもとりわけ幼いジェニーちゃんは、年齢関係なく優しそうな人を見つけて近づきます。 きっとママ代わりを探しているのでしょう。

私は特に優しいインストラクターではないのですが、彼女曰く、
「エリコを見てるとママを思い出すのよ」
と言われます。
お母様が亡くなったのは、80歳(笑)の時。
それに、ジェニーちゃんより私の方が年下なんですが、、、年齢はあまり関係ないようです。

ちなみにそのお母様は、亡くなる前にこのスタジオの存在を見つけ、どうにかキャシーさんが通えるようにと動き回っていたようです。

リズさんのお父様もつい最近亡くなりました。 彼女は知的障害がありますが、就労の場で知り合った旦那様と幸せに暮らしております。

リズさんは、お父様が亡くなる前に、2月に行なわれたファッションショーの写真を見せたそうです。亡くなる親に自分の幸せな姿を見せる事ほどの親孝行はないでしょう。私は「アートショウの事は心配しないで一緒にいてあげて」と伝えていましたが、彼女は「気がまぎれるからアトリエに来たい」と言いました。

日本で入所施設に勤める友人から、施設が今満員になってきているとききました。もしかすると、日本でも中高年の方のためのグループホームや、アクティビティセンターなど、コミュニティに居場所を作っていく事が必要になってくるのではないでしょうか。


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プロフィール

佐藤エリコ

カリフォルニアの首都、サクラメント在住の15歳のアスペ君の母。
東京造形大絵画科、サンフランシスコ州立大卒。
1999年渡米し、画家、イラストレーター、美術教師として活動する。
2007年、一人息子Mのアスペルガー診断をきっかけに自閉症の療育を学ぶため、ABA(応用行動分析)のホームセラピストに。
2010年、アスペルガー育児とセラピスト体験をコミックエッセイ「まさか!うちの子アスペルガー?」(合同出版)から出版。
現在はアートとセラピストの経験を活かして、2010に発達障害(知的障害、脳性マヒ、てんかん、自閉症を含む)をもつ成人のアートスタジオ「スタジオ23(仮名)」にインストラクターとして勤務している。
18歳から90歳以上までの強烈な個性のアーチスト達が50人以上も通うアトリエで、息子の将来について考えながら、日々格闘中!

ブログ・絵カードのお店

著書


まさか!
うちの子アスペルガー?
佐藤エリコ/著
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