第9回 ファッションショーリポート(1/2)

今回は、私がアトリエで初めて企画した、ファッションショーについて報告します。 実は私、当日までかなりプレッシャーを感じていましたが、結果は(手前味噌ですが)大成功だったと思います!

そもそものきっかけは、私が別の支援プログラムのファッションショーを見学に行き「ウチでもやろう」と提案したのが始まりでした。 私のクラスは主に、テキスタイルやバッグやスカーフなどの服飾品の制作をしています。 だから作品の発表のために、ファッションショーをすれば、製作のモチベーションもあがるだろうと思いました。

実際にイベントを行うことで、様々な経験をする事ができたようです。

まず、今までは個々の作品だけに集中していたアーチスト達が、ファッションデザインを通して、色のトータルコーディネイトやマッチングを学びました。 組み合わせにより素材が引き立ったり、そうでなかったりすることを経験できたようです。

もう一つ、今回アーチスト達は、グループプロジェクトを経験しました。並縫いだけできる人、かがり縫いだけできる人が、ビーズやボタンの装飾をつけるのが上手な人と協力し合う事で、それまでできなかった、より大きなプロジェクトができる事を経験しました。

さらに、クラス間の交流ができました。 ショーは、モデル、音響、ライティング、舞台美術などの、トータル芸術です。立体製作や、パフォーミングアーツなどの、他のクラスの人も皆さん参加することができました。

外にもでかけました。ウチのプログラムは、外出プログラムではないので、普段はアトリエ内で、アトリエにあるもので作品を作っています。今回、クラスで初めて素材を購入しにリサイクルショップに出かけました。 お店で皆で、あーだこーだいいながら洋服や帽子ピックアップし、とても刺激を受けたようです。

車椅子バンで乗りつけた私たちは総勢10人は、そうとうかしましい集団だったと思います。それでも店員さんは、とても暖かい目で見守ってくれてました。 彼らが、より主体的に素材選びに参加できたこと、地域とつながれたことは、大きな収穫でした。

ショーは、最初はアトリエ内のイベントの予定でした。しかし、話題が話題を読んで、しまいには、イタリアのファッション紙の編集者の方まで見えて、沢山の作品を購入して頂きました。

当日は、ヘアメイクや、着替えを手伝うことで、彼らにとって身だしなみについて学ぶきっかけになったようです。たとえば、無駄毛の処理など、普段気になってはいても、なかなか話すきっかけがない事を話すチャンスになりました。

プロフィール

佐藤エリコ

カリフォルニアの首都、サクラメント在住の15歳のアスペ君の母。
東京造形大絵画科、サンフランシスコ州立大卒。
1999年渡米し、画家、イラストレーター、美術教師として活動する。
2007年、一人息子Mのアスペルガー診断をきっかけに自閉症の療育を学ぶため、ABA(応用行動分析)のホームセラピストに。
2010年、アスペルガー育児とセラピスト体験をコミックエッセイ「まさか!うちの子アスペルガー?」(合同出版)から出版。
現在はアートとセラピストの経験を活かして、2010に発達障害(知的障害、脳性マヒ、てんかん、自閉症を含む)をもつ成人のアートスタジオ「スタジオ23(仮名)」にインストラクターとして勤務している。
18歳から90歳以上までの強烈な個性のアーチスト達が50人以上も通うアトリエで、息子の将来について考えながら、日々格闘中!

ブログ・絵カードのお店

著書


まさか!
うちの子アスペルガー?
佐藤エリコ/著
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