第8回 Inclusionと慣れ(1/2)

最近、日本で高校生が障害のある人をからかうという事件があったそうです。 なぜこういう事が起きるのか…、いろいろ考えさせられます。 もしかすると、原因は以外と単純な事なのかもしれません。

人間得体の知れない事象は、誰でも怖いものです。 差別ってそういう所から来ると思います。

逆に小さいときから知的障害や、自閉症のある人を見慣れていれば、不思議と「ああ、ああいう人か」ですんじゃう事もあるかもしれません。 だから必要なのは「慣れ」なんじゃないかと思うんです。

私の住むアメリカでは、この「慣れ」が少しすすんでいるように感じます。 息子が診断をされた時、私はInclusionという言葉を初めて知りました。 これは「地域社会の中での共存」を意味する言葉です。 そして仕事で障害をもつ彼らが隔離されていた歴史を学ぶにつれ、Inclusionの大切さを痛感するようになりました。

アトリエでも彼らのInclusionのお手伝いをさせていただいてます。 年に2回行なわれるアートショウでは、アトリエを地域に公開します。 そこで、アーチスト達は訪れる人達との交流や、作品の発表を楽しみます。 より多くの人に見てもらえるようにと、ウェブサイトやカタログ作成、そしてギャラリーの建設をも考えております。

演劇のクラスでは、地域の人を招いての公演を行ないます。 アニメーエションのクラスでは、ユーチューブなどに作品をアップしています。 みんなで地域のギャラリーに出掛けたり、映画館や、素材調達の為ショッピングに行く事もあります。 こうしてアートを通して、障害をもつ彼らが様々な人と繋がる事を支援しています。

もう一つ、アーチスト達が参加する「アクション・クラブ」というのもあります。 これは、世界中に支部のあるKiwanis Action Club(http://www.aktionclub.org/Home.aspx) という団体と連携して、病院の子供に手作りの品を送ったりといった、様々な活動をするものです。 文字通り、アクションを起こすクラブなのです。 こうやって、障害があっても社会に貢献しようとする事を支援します。

プロフィール

佐藤エリコ

カリフォルニアの首都、サクラメント在住の15歳のアスペ君の母。
東京造形大絵画科、サンフランシスコ州立大卒。
1999年渡米し、画家、イラストレーター、美術教師として活動する。
2007年、一人息子Mのアスペルガー診断をきっかけに自閉症の療育を学ぶため、ABA(応用行動分析)のホームセラピストに。
2010年、アスペルガー育児とセラピスト体験をコミックエッセイ「まさか!うちの子アスペルガー?」(合同出版)から出版。
現在はアートとセラピストの経験を活かして、2010に発達障害(知的障害、脳性マヒ、てんかん、自閉症を含む)をもつ成人のアートスタジオ「スタジオ23(仮名)」にインストラクターとして勤務している。
18歳から90歳以上までの強烈な個性のアーチスト達が50人以上も通うアトリエで、息子の将来について考えながら、日々格闘中!

ブログ・絵カードのお店

著書


まさか!
うちの子アスペルガー?
佐藤エリコ/著
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