第5回 今を楽しもう!(2/3)

障害があっても、成人病には平等にかかります。 いえ、普通の人より不摂生な彼らは、かなりの確立で成人病になっているように見えます。

そして残念ながら、いくら健康に気をつけていても、障害故に普通の人の平均寿命が期待できない人もいるのです。 だからこそ、彼らにとって「また一つ年を取れた!」という事は、とても喜ばしい事なのです。

40代、50代にもなると、普通の人なら「一つ年をとる事」は、それ程待ち遠しいとは思わないでしょう。 けれどスタジオでは、誕生日は必ずカップケーキにろうそくを一本立てて、50人以上もいる大きな部屋で、皆でハッピーバースデーを歌います。

少し子供っぽいでしょうか?
けれど結婚していない、親御さんも他界している彼らに、誰が歌ってあげるでしょう? スタジオの仲間は、第二の家族のようなもの。生きている事を盛大に祝いたいのです。

障害のある人の支援は、将来への訓練に集中してしまいがちです。それも確かに大事です。ただ、人生いつ何が起きるか分からないから、その時をエンジョイする事を忘れてはいけないんだなと思います。

以前ABAセラピスト時代にあるお母さんが言いました。
「この子は、療育を受けるためだけに生まれて来たのではない。楽しむために生まれて来たんだ。」 と。
確かにそうだなと思いました。

息子にふと「人は何のために生きるんだろうね?」
と聞いてみました。
すると即答で
「楽しむためでしょう?」
という答えが帰ってきました。

プロフィール

佐藤エリコ

カリフォルニアの首都、サクラメント在住の15歳のアスペ君の母。
東京造形大絵画科、サンフランシスコ州立大卒。
1999年渡米し、画家、イラストレーター、美術教師として活動する。
2007年、一人息子Mのアスペルガー診断をきっかけに自閉症の療育を学ぶため、ABA(応用行動分析)のホームセラピストに。
2010年、アスペルガー育児とセラピスト体験をコミックエッセイ「まさか!うちの子アスペルガー?」(合同出版)から出版。
現在はアートとセラピストの経験を活かして、2010に発達障害(知的障害、脳性マヒ、てんかん、自閉症を含む)をもつ成人のアートスタジオ「スタジオ23(仮名)」にインストラクターとして勤務している。
18歳から90歳以上までの強烈な個性のアーチスト達が50人以上も通うアトリエで、息子の将来について考えながら、日々格闘中!

ブログ・絵カードのお店

著書


まさか!
うちの子アスペルガー?
佐藤エリコ/著
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