第3回
彼らの恋愛と性 (1/2)

沢山の成人男女が一日を過アトリエ、彼らにとってはそこは制作の場であるともに社交の場でもあります。そこではグループホームの情報交換をしたり、友達との交流をしたり、恋をしたりします。 今日は彼らの恋愛について思った事を少しだけお話したいと思います。

アトリエでは恋愛は自由ですが、キス以上の性行為は禁止されています。 ハグ(抱擁)でも、フレンドリーな横ハグならオッケイですが、体の表面をべったり付けるハグはダメです。それでもこっそりスタッフの死角に行ってそういった事をする事もあります。外での休息時間のスーパーバイズの当番をすると、いちゃつくカップルを監視するというむなし〜い業務をしなくてはいけません。

そのカップルがある程度大人で、公認カップルの場合ある提訴目をつぶる事もあります。 時には「Get a room!(部屋借りろ!)」とジョークを飛ばしたりも! けれども、この「Get a room」 ができないんですよね彼らは。

40、50代にもなって、2人っきりでデートできないなんて、普通に考えたらたまらないですよね? 20代でこのプログラムに来た時は、まだ幼くても、40代、50代になったら中身が25歳くらいに成人する人もいるんですよね。 彼らが準備ができた時に、ちゃんと恋愛ができるサポートも必要だなと思います。 もちろん結婚出来ている人もいますが、相手が健常か、軽度だったり、ごくわずかなのが現状です。

そんな事を思いつつ、ある20代半ばの男性とお話してました。 彼は知的にも比較的高い方ですが、恋愛の話をした所、びっくり。
「俺には13人彼女がいる」 と言うではありませんか!
驚いた私が「彼女って一人じゃないの?相手が焼きもち焼くでしょう?」 と聞き返すと、きょとんとして 「別に何人いてもいいじゃない。」 という返事。 ついつい心配になって 「でも、複数のパートナーとつきあったら、性病がうつったり、誰が親か分からない妊娠したりして困るじゃない。」 言ったら皆にびっくりされてしまいました。 「うげぇ。しないよセックスなんて」 だって。どうやら、まだ彼にとっては、彼女は、女友達の事のようです。

そんな20代の若者がいたと思えば、別の20代後半の女性は複数の年上男性達に、あまりに無防備かつ積極的なスキンシップ迫ります。あまりに度が過ぎたので注意すると 「ERIKO、どうしてつきあっていない異性とそういう事をしてはだめなの?」 と真顔で聞き返されました。「大人になると、異性と体を振れていると体がエキサイトして反応しちゃうことがあるから。だからステディな関係になるつもりがない大人の男女はべたべたしないの。」 と答え、また性病、妊娠の危険を説くと、彼女は目をまん丸くしていました。どうやら本当に、知らなかったようです。

プロフィール

佐藤エリコ

カリフォルニアの首都、サクラメント在住の15歳のアスペ君の母。
東京造形大絵画科、サンフランシスコ州立大卒。
1999年渡米し、画家、イラストレーター、美術教師として活動する。
2007年、一人息子Mのアスペルガー診断をきっかけに自閉症の療育を学ぶため、ABA(応用行動分析)のホームセラピストに。
2010年、アスペルガー育児とセラピスト体験をコミックエッセイ「まさか!うちの子アスペルガー?」(合同出版)から出版。
現在はアートとセラピストの経験を活かして、2010に発達障害(知的障害、脳性マヒ、てんかん、自閉症を含む)をもつ成人のアートスタジオ「スタジオ23(仮名)」にインストラクターとして勤務している。
18歳から90歳以上までの強烈な個性のアーチスト達が50人以上も通うアトリエで、息子の将来について考えながら、日々格闘中!

ブログ・絵カードのお店

著書


まさか!
うちの子アスペルガー?
佐藤エリコ/著
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