第2回
発達障害を持つアーチストの支援とは? (1/2)
前回、スタジオ23の仕事は知的障害、発達障害を持つアーチスト達の支援をする事だとお伝えしました。今回はもう少し詳しく説明したいと思います。
実は「知的障害や発達障害を持つ大人のためのアトリエのインストラクター募集」をインターネットで見つけた当初は、私はてっきりセラピスト時代の経験を生かせると思っていました。しかし採用に際しては、美術活動歴の方を重視されました。
自閉症児のセラピーの仕事をしていたことから、障害を持つ人が対象のプログラムと聞いて「問題行動にどういったメソッドで対応していますか?」などと質問をした事があります。
すると「彼らはすでにアーチストであり、自分のやり方がすでにでき上がっている。だから特別行動に介入する事はない。こちらは彼らの制作を手伝うだけ。」という答えがかえって来ました。
私にとってアーチストとは「生まれつきアートが何よりも好きで、それにより自己表現をする人」。セラピー(治療や訓練)ではなく、「その人の持って生まれたものを活かす手伝いをする」というアプローチに私はとても惹かれたのです。
もちろん理想と現実は違います。
実際に働いて見ると、「障害者向け雇用会社や他のプログラムより自由だから」とか、「友達に会いたいから」とか、「ケアプロバイダーに言われたから仕方なく」とかいう人もいました。
時々「自分の仕事はベビーシッターなのか?ここはアダルトデイケアなのか?」という疑問がわくこともあります。
しかしやる気のある人も沢山います。
ここに来なければできなかった陶芸で能力を発揮する人、絵画で地域で受賞する人、ここで作ったハリボテがきっかけで、今は注文を外から受けて制作に励んでる人もいます。
※プロフの写真は、私をモデルにしたハリボテと一緒にとった写真です。 こういうアーチスト達に、スタジオは本格的な画材と場所を提供するのです。
スタジオには現在、私の受け持つ立体制作、ウェアラブルアート、ビーズのクラス他に、陶芸、絵画、デッサン、トールペイント、パフォーミングアーツ、コンピューターグラフィック、アニメーションなどのクラスがあります。
先生は7人、それぞれ複数クラスを受け持ちます。
1人の先生に対し6人のクライアントというのが基本ですが、現実は先生1人で10人、11人受け持つ事もよくあります。
クラスの雰囲気は先生により異なりますが、私のクラスは、モチベーションの高い人しか生き残らないようです。気づくと、休憩の時間も惜しんで作業をしていて、止めないといけないくらいです。