第1回
知能検査・発達検査からみた「そのまま」の自分 (2/3)

知能検査・発達検査からみた「そのまま」の自分

WAISとはどんなもの?

成人向けの障害度合を測定するための知能検査にもいろいろありますが、その中でもWAIS(WAIS-IIIなど)が定評あります。
これは、ウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale)といって、16歳以上の成人用の知能検査です。
全検査のIQは、言語性検査と動作性検査から構成されています。この検査では能力の中の出来る事と出来ない事の凸凹を見つける事が出来ます。

発達するけどゆっくり発達

私たちのように発達障害の人は、定型の人と比べてとても発達している部分と、そうでない部分とがあります。ひとりの頭の中に、まるでうさぎと亀が居るようです。とても早く的確に処理ができる項目ととてもゆっくりとしか処理出来ない項目とがあるのです。
しかし、亀の部分、つまり出来ない項目も、一生出来ないのかというとそうではありません。とてもゆっくりですが発達します。

自分の特性を知ることはどんなふうに生きやすさに繋がるの?

しかし、自分の出来ない部分を伸ばそうと躍起になっても、辛いものがあります。
なぜなら、定型の人とは比較にならないほど出来なかったりする場合もあるためです。仮に出来るようになったとしても人とは違うやり方が必要だったり、必死に努力しても定型の人の標準的な力量だったりすることもあり、自尊感情が傷つく場合が多いのです。
そこでとても重要なヒントになるのがWAISによる検査です。この検査では自分の得意な事や不得意な事が数値で分かります。なので出来ない事を受け入れていく作業にとても役に立つ検査です。
私たちが出来ないのは怠けていたり、やる気が無かったりするのではなく、脳の特性で出来辛いという事が分かるからです。

出来る部分を長所に活かすとどうしていいの?

もちろん、この検査では、長所もおのずと分かります。ですから、まずは長所を活かす事で自分の能力に自信を持ってもらいたいものです。長所が伸びれば傷ついた自尊感情は修復していきます。そして、出来ない部分もおのずと付いてくることもあります。
また、苦手な部分は長所の部分で補うことが可能かもしれません。
たとえば、図を見て理解する能力に長けている人には、言葉で説明するよりも、図を見せて説明する方が飲み込みが早いでしょう。
逆に言語理解に長けている人には、図形の特徴を言葉で定義づけをすると理解出来るかもしれません。

プロフィール

あらきまさし (まぁ。)

高機能広汎性発達障害の当事者。
1994年立命館大学法学部卒業。2001年10月から心理カウンセリングのトレーニングを始める。その頃から心身体験型のワークに出会い、特にゲシュタルトセラピー、フォーカシング、ブレスワーク、心身統合心理療法(ボディサイコセラピー)などを取り入れて学ぶ。
その後、京都府内の精神保健福祉センターにてボディワーク講師のアシスタントを務めたり、KNCにてファシリテーター研修を開始。エンカウンターグループDOの世話人を務めている。
2010年11月に高機能広汎性発達障害の確定診断が降りる。2011年から発達障害当事者グループ「グループそのまま」を主催。
2012年現在は、アルバイト等をしながら、心理カウンセリングやグループワークを行っている。
「珈琲や生クリーム、プリン、豆腐などをこよなく愛してます。けっこう、へろへろしながら自分にできそうなことを行ってます。これからもよろしくです^^」
ブログ
ブログ 発達障害でもなりたいものになれるさ
当事者会
発達障害当事者グループ グループそのまま
ワークショップ
ワークス SHISAMA
協力:宮崎礼子
KC心理・家族相談室
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