第6回
読みやすい書体、読みにくい書体(1/3)

 皆様 普段 PCで ワードなどに文字を打ち込むとき 書体(フォント)は何にしていますか? 特に深く考えずに、最初に表示された「明朝体」にしているのではないでしょうか?
私、、、、実は この明朝体が、とっても苦手…横組みは特に苦手…
チカチカして、焦点が合いにくい感覚なんですよ。
グラフィックデザインをしていると、一通りの書体の名前はわかるのですが 一般の方には、なじみが薄いかもしれませんね。 代表的な書体について、少しご説明します。 ちょっと書体の世界にお付き合いください。

江戸時代 日本人は 筆で 縦書きで文章を書いておりました。 かっちりきっちり、読みやすい本来の文字は「楷書体」と呼ばれます。
それを 早く書くために 字を少し崩して書くのが「行書」と言います。
英語でいう所の 筆記体ですね〜〜。
英語は必ず横書きなので横に書きやすい様に傾いていますが 、日本語は縦書きのため、独特の崩し方になります。 「行書体」よりも、もっともっと早く書ける、スーパー崩し書体が「草書体」です。

実は私、書道の段を持っていますが 草書体は殆ど読めません(笑)
現代人としては「ありえへんやろ〜〜」ってくらいに 崩されている書体です。 時代劇なんかで出てくる かわら版の「サラサラ〜〜〜」って書かれている文字は、草書体だと思います。

江戸時代は 手紙は 筆で手書きしか方法がありませんでした。なので 大量に同じ文章を用意することはできなかったんですね。
木版という手もありますが やはり 原本の木に彫り込むのは、一文字一文字、彫刻刀で職人が彫り込んでいたわけです。
お経などは 版画で刷られることも多かったかもしれませんが、紙も高価なものでしたし、一般の人は文字を読める人も少なかったでしょうから、それほど普及はしなかったと思います。
(中国では1800年くらいの印刷物が残っているようです)

それが明治以降。
「新聞」「本」等 一度にたくさんの人に読んでもらえるために、摩耗の少ない金属で作られたハンコを組み合わせて文章を組み上げる、「活版印刷」というものが登場します。
英語圏内だと「A〜Z]まで 用意をすれば良いだけなのですが、日本語は、とにかく漢字・カタカナ・ひらがな、すべて合わせると膨大な量の文字を用意しないといけないので、そんなにたくさんの書体を作れませんでした。 スペースはいるし 金属のハンコは重いし…
なので 明治あたりの印刷物は ほとんど明朝体だけです。


画像は wikipedia 活版印刷 より引用

こんなに、たくさんになっちゃいます。(右図参照)
この金属の全てが一文字なんです。
職人さんが一つ一つ手で拾って、縦に組み上げていきます。大変な作業ですね。

プロフィール

くすのきゆり
兵庫県出身。兵庫県在住。
デザイン専門学校在学中に二科展入選。
専門学校卒業後は、イラストレーター、グラフィックデザイナーとして、デザイン事務所、広告代理店制作部に勤務。
本や教材の挿絵、ポスター、雑誌の表紙、イラスト、ロゴマーク作成、パンフレット、チラシなどグラフィックデザイン全般を手掛ける。
結婚、出産で いったん現場を退くものの、現在は、発達障害の啓発活動の傍ら、フリーのイラストレーター兼グラフィックデザイナーとしてとして活動中。
色鉛筆画が得意。
LDの人にも読みやすいグラフィックデザインを心がけています。
プライベートでは 二人の子どもの発達障害の診断までの過程で、私自身もその
傾向が強い事に気づく。
心療内科にて「物忘れ・衝動性・不注意は薬の副作用やうつ病の症状ではなく、
持って生まれた特性でしょう。脳のほんの少しの機能障害です」と言われるもの
の、専門病院での診断は受けていない。
ブログ
inserted by FC2 system