第5回
広告代理店時代 色と細部へのこだわり (1/2)
さて、私は何かと、地味にこだわりの強い人間なのですが 仕事でもそれは、じわ〜っと、影響を与えていました。 当時、印刷関係のデザイン(グラフィックデザイン)の道具と言えば、PCではありませんでした。 机の上には 大きな三角定規セット、30cm定規、コンパス、楕円パターン、ロットリング(製図用のペン)、カッターナイフ、デザイン用カッターナイフ、 カッター台 などなど。 これらは 職人さんのごとく、個人が会社に持ちこむ事が多かった。(だって会社に買ってもらったら、会社辞めるときに置いていかないといけないでしょう?)
私もカッターナイフ等は、プラスチック部分が全くない、ステンレス製のものを持ち込んでいましたね。 プラスチック部分が、劣化するのが嫌でね、全部、ステンレス製が安心。 さらに、カッターの刃の部分のぐらつきの無いものを愛用していた。
一般的に、よく使われている黄色いイメージのカッターはね、微妙に、刃がぐらつくので、使う時にはティッシュペーパーを小さく切って 刃の横に詰め込んで、がっちりと固めた。 一日中、カッターナイフ使ってるので、刃も毎日折って、切れやすさをキープするんだけどね。いちいち、カッターの後ろの割れ目を使って折る人は少なかったなあ〜。 作業中に、切れ味悪いなと思ったら、そのまま右手だけで、原稿の下に刃を挟み込んで、力技でバキッと折ってました。
私の目は、発達障害の影響なのか、水平・垂直をしっかりと見にくくて。そういう時に、大活躍してくれるのは、方眼付きの大きな三角定規。これで、貼り込んだ写植がゆがんでいないかをいちいちチェック! 今の様に、PCに打ち込んだら、当たり前のように並行で、文字が出てくる時代じゃなかったのよ〜。
グラフィックデザイナーの仕事ってね、殆どが、ケント紙にモノクロでラインを引いたり、イラスト入れたり、写植文字を貼り込んでいって、「版下」と言うものを作り上げて、その上にトレーシングペーパーをかけて、その上に 手書きで指示を書いていきます。 その時に、この部分にはこんな色を入れてくださいというのが「色指定」って言います。
最初は、「青のタイトルの下の文字が緑だったら、目立たないかな〜」なんて めちゃくちゃ悩むんだけどね、多量に集めた資料なんかを参考して 目の前の「モノクロの版下」が「カラーの印刷物」になった状態を『リアルに想像する』のですよ。この色指定も、デザイナーの好みが結構強く出ます。それぞれ、好きな色、嫌いな色があるのね(笑)
色は通常「シアン(水色)」「マゼンダ(鮮やかな濃いピンク)」「イエロー(黄色)」「ブラック(黒)」 の4色を掛け合わせて混ぜていく。 今は ワードやブログでも、さまざまな色が、出せるようになりましたから
イメージしやすいかもしれませんね。
PCやネットの世界だけではなく、印刷物も この4色の掛け合わせだったりするんですよ。(例外もありますが) 私は、チラシを作る時「50%OFF」なんて目立たせたい部分には
「金赤」といわれる赤を使わなかった。金赤ってね「マゼンダ100%+イエロー100%」の朱色に近い赤です。