第11回 やらされ感より達成感(1/2)

「経験が人を育てる」という言葉はよく聞くし、本当にその通りだと思う。だけど、発達障害児に関しては「自発的な経験」「心地よい経験」が、より成長の糧になりやすいんじゃないかな。



まぼは「やらされ感」に激しく抵抗するタイプだったので、本人が「やりたい」「やってみる」と言い出したこと以外は、いくらなだめてもすかしてもダメだった。たぶん、同じスペクトラムっ子でも受動タイプの子だったら、「やってみない?」という声かけが、興味の一歩になるのかもしれない。積極奇異タイプのまぼは下手すると、「○○は無理やりやらされたから一生やらない!」と言い出しかねない雰囲気だった。

だから「ちょっとやってみようよ」なんて声かけは絶対にNG。集団行動をさせたい先生方には、ちょっと扱いづらい子だったんじゃないかなあ。だけど私達夫婦は、そういうまぼの気質が、けっこう好きだった。「この意志の強さは頼もしい」「やっぱりひと味違う」って(笑)保育園の時に涙目で、「なんで子供は先生の言うことを聞かなくちゃいけないの?!」と訴えてきたときには、オットのほうが「俺も子供の頃そう思った!」と喜んだほど。そこ、喜ぶとこ?(笑)

でもね、そんな気質だからこそ怖かったのが、興味を持ちそうな分野でも、やらされ感を感じた時点でイヤになっちゃうこと。これは傍から見て、「あ、才能ありそう?!」なんて思った時ほど要注意だった。ついつい「習ってみる?」「練習してみる?」と誘いをかけたくなるけれど、まぼのような子にとっては逆効果。「(みんながやれっていうなら)やっぱりやめた。」となりかねない。だから長所を伸ばすときこそ、一に見守り、二に見守りだった。そういうまぼの心情を汲むのはオットが上手だったので、その恩(?)で、まぼは今でもお父さんにリスペクトしているのかもしれないなあ。

ただ、どんなにやらされ感が苦手といっても、世の中には避けては通れない「やらされごと」がたくさんある。季節ごとの行事の練習、漢字の書き取り、計算ドリル、苦手な課題は目白押し。すべてイヤダイヤダと抵抗していては、まぼの神経が持たないし、戦うだけで疲れちゃうよね。なんとかやらされ感を和らげる方法はないものかと試行錯誤した結果、長年、わが家を支えてくれたのがごほうび作戦だった。

プロフィール

じゅん

色とりどりな中2の3つ子と家族5人で、愛知県に生息中。
アスペッ子なまぼ、天然なあーちゃん、重度の知的障害&コテコテの自閉症のたんたんとともに、笑ったり、ずっこけたり、たまにへこんだりしながら、マイペースに暮らしてます♪

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著書

発達障害のある子の
こころを育てる
じゅん/著
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