第7回 障害児のきょうだい(2) (2/2)

 片道1時間の通学路。晴れの日も雨の日もいっしょに歩いた。歌を歌ったり、おしゃべりしたり、通学班のお友だちも交えて道中は大はしゃぎ。だけどやっぱり、校門での別れ際は毎回ひと悶着で、「お母さんは帰っちゃダメ〜〜〜!」と、ランドセルを投げ捨てて泣きわめいたこともあった(←今のあーちゃんからは想像もつかないね;)。なんとかスムーズに門をくぐれないかと考えた教務主任の先生に、朝から校門前で手品を見せてもらったのなんて、後にも先にも私達親子くらいかもね(笑)でも、そんな母べったりの日々も、1ヶ月を過ぎた頃には徐々に落ち着きはじめ、2ヶ月を過ぎた頃には、笑顔で「いってきまーす」とバイバイできるようになり・・・時間薬ってスバラシイ。もちろん時間だけでなく、フレックス出社を利用して、毎朝たんたんのバス停送りをしてくれたオットと、お母さんのいない朝に慣れてくれたたんたんと、「あーちゃんを助ける側」にまわってくれたまぼ。みんなの陰の協力あってこそ、の結果だと思う。

 実は、療育教室に通い始めた頃にはじめて、障害児のきょうだいを「きょうだい児」と呼ぶことを知った。この、独特な表現を知ったとき、「障害児のきょうだいって、そんなに特別な配慮が必要?」「そんなにストレスがたまっちゃうの?」と、急に不安になったことを覚えている。そんな不安感を抱いたまま、どうしよう、どうしてあげたらいいんだろうと、変に構えてしまったことが、あーちゃんに妙なプレッシャーを与えていたのかもしれない。障害のある子がいる世の中がふつうなら、障害児のきょうだいだってふつうでいいはず。きょうだいの接し方に配慮がいるのは、どんな子供でも同じこと。長男だから、次男だから、1人っ子だからという勝手なフィルターが、真実を見えにくくしてしまうのといっしょで、障害児のきょうだいだからという決めつけもおかしいよね。

 あのとき全身で、「障害児のきょうだいのわたし」じゃなく「あーちゃんというわたし」を見て!!!と、アピールしてくれたあーちゃん。2度も大爆発させちゃって申し訳なかったけれど、あの爆発がわが家に蔓延ろうとしていたフィルターを、いっきに取り払ってくれたような気がする。今は「あのときのわたし、すごかったよね〜」とカラカラ笑っているわが家の救世主に、心から感謝なのです。

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じゅん

色とりどりな中2の3つ子と家族5人で、愛知県に生息中。
アスペッ子なまぼ、天然なあーちゃん、重度の知的障害&コテコテの自閉症のたんたんとともに、笑ったり、ずっこけたり、たまにへこんだりしながら、マイペースに暮らしてます♪

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発達障害のある子の
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じゅん/著
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