第2回 特徴?個性? (1/2)
たんたんが自閉症だとわかったのは、脳性まひの診断が下りてから9か月も後のことだった。それまで3人のなかでも特に表情豊かな子だったので、まさかこの子が自閉症だなんて思いもよらなかった。幸か不幸か、脳性まひによる身体のぎこちなさのせいで、自閉症児によく見られる「くるくる回る」「物を並べる」なんて行動もまったくしなかった(できなかった)のよね。
その頃のわたしの呑気さを象徴しているのが、母子手帳の1歳の記録にある、「どんな遊びが好きですか」の欄。
・まぼ・・・研究、高い所にのぼる
・あーちゃん・・・いないいないばあ、絵本
・たんたん・・・歌ってもらうこと、物を散乱させること(←遊び?)
1歳児が研究って…親バカ度120%の記述だね。でもホント、黙々と絵本を並べたり、おもちゃそのものよりおもちゃの仕組みに興味を抱くまぼの姿は、いかにも研究者風だったの。3人それぞれ好みも遊び方も違っているのが、面白くて楽しくて大好きだった。「どうよ?この個性!」って自慢したくなるくらい(笑)
今、あらためて母子手帳を見返してみると、「これは発達障害の特徴だったのかなあ」と思う部分もある反面、やっぱり「これは発達障害という個性だよなあ」とも思う。だって、あんなにかわいくてユニークだと感じていた行動の数々が、診断をうけたとたん「ショウガイ」に豹変しちゃうなんてヘンだもの。
あとね、発達障害がわりと周知されてきた今の時代でも、その解説自体が「多数派」の枠でくくられているなあと感じることがある。たとえば自閉っ子によく見られる耳ふさぎ。聴覚過敏の子が周囲の喧騒をシャットアウトするため、と書いてある本が多いけれど、たんたんは渋い表情で耳をふさぐときと、笑顔で耳をふさぐときがあった。ある日、ニコニコして耳をふさいでいるときに、となりで同じことをしてみたら・・・あら不思議!周りのざわざわという音が軽減されて、たんたんの大好きなチャイムの音だけがよーく聞こえたのだ!なるほど、大好きな音をよりクリアに聞くために、耳をふさいでいたのねえ!好きな音を聞くために耳をふさぐ、なんて記述は見たことがないけれど、それが個々の感覚の違い、いわゆる「個性」なのかなと思う。